日曜日の午後、どんよりと灰色の雲が広がり今にも雨が降り出しそうな上、
いかにも寒そうな外を見て、出かけるのが億劫になった。
やっぱり家にいようかな、という思いが頭をかすめたものの、
元々行く予定にしていたし、もう出かける準備もしたので観に行くことにしたのは、
ドイツサッカー、7部のリーグ試合。
7部を観に行ってきてもわざわざ誰かに報告しないけれど、
会話の中で偶然、週末やサッカーの話題になり「7部を観てきた。」と言うと、
たいていびっくりされるか、
「知り合いがプレーしてるの?」と聞かれるか、あるいはちょっと笑われたりするけど、
その気持ちはどれもよく分かる。
7部はアマチュアサッカーなので、知人がプレーしていれば応援に行くとか、
その地域に住んでいて、そのチームをずっと応援しているから行くとかで、
そうじゃない場合、
縁もゆかりもないその場所に、計画を立てて「わざわざ」観に行く、ということに
「へぇ?」となるのだと思う。
一方、7部どころか、8部や9部の色々な試合を観に行く
知り合いのドイツ人も多くいるので、
そこはさすがドイツなんじゃないかと思う。
そして、「あぁ、あのサッカー場ね。2回行ったよ。」などという答えが返ってきて、
ドイツサッカー7部観戦が急に普遍的な話題に見えてきたりする。
さて、電車とバスを乗り継ぎ、降りたバス停の名前が、目の前にあるカフェの名前だった。
美術館や教会じゃなくて、一軒のカフェがバス停の名前なのは
新鮮で、このカフェが場所を移動したらバス停の名称はどうするんだろうなどと
余計な心配をしながら、降り始めた小雨の中、試合会場に向かった。
試合は、7部のTSV Oberensingen (オーバーエンジンゲン)対SSG Ulm 99(ウルム)のリーグ戦。
ホームチームである、オーバーエンジンゲンのサッカー場に到着、
入り口(と言っても、完全に屋外)からマスク着用との貼り紙が出ていて、
屋根のない屋外のサッカー場でも終始マスク着用なのはなぜかと思っていたら、
この地域でコロナ感染者数が急激に上昇しているためだった。
入場料は、男性7ユーロ(約860円:2020年10月)、女性4ユーロ(約490円:同)。
ドイツでは7部や8部でも、ソーセージのはさまったパン(というか、パンにソーセージがはさまったもの。メインはソーセージ)や、ソフトドリンク・ビールなどがカウンターで販売されていたり、或いはクラブレストランが併設されていたりする。
一旦小雨になった雨が強い雨に変わり、15時のキックオフ時には強い雨が降っていた。
私達は木の下に行き、さっき買ったソーセージを立って食べながら観戦。
雨が激しくなり、一気に冷えてきた。
ちょっと大げさかと思ったけど、冬用のブーツを履いてきて正解だった。
試合途中、今日の観戦者数は220人、とのアナウンスが入った。
それに加え、私達の後ろにあるフェンスの外から観ている人も10人くらいいた。
後半、段々と雨が降りやみ、いつの間にか陽まで差してきて一日中快晴だったかのような天気になった。
試合は、4対2でホームチームの勝利。
ゴールが多かったこともあり、気がつけば思いのほか試合を楽しんでいた。
行きと異なり、バスから電車への乗り換えの都合が良い、別のルートで帰途に着いた。
バスの窓から見えていた街の中の建物の風景が、いつの間にか、
黄金に輝く夕日を背景に、当たり一面のレタス畑となり、
今度はそれが緑一色の大きな畑になったと思ったら、次の町に入り建物の景色に変わった。
思わず「わぁ~!」と声が出る景色との出会いもサッカー観戦の
思い出のひとつとなり、また、近くても知らなかった街を
バスや電車の窓から眺めるとちょっと遠くに旅に来た気分になって、
半日しか経っていないのに、久しぶりに家に帰ってきた感じがした
日曜日の夜だった。