あの時:酷暑と陽気な酔っ払い(ウルム対フランクフルト)

ここ最近30℃越えの暑さで、そろそろ扇風機を買ったほうがいいのかなと考えています。

ドイツでは各家庭にはエアコンがないのが一般的で、小店舗やレストラン、会社でもエアコンが
ない、ということも珍しくありません。
(冬は寒いので、暖房装置はあります。)

そんな暑いある日、それよりも更に暑かった2018年の夏の日に、夫とサッカー好きの友達と
3人でサッカー観戦に行ったことを思い出しました。

試合は、SSVウルム1846というチームのホームスタジアム、ドナウスタジアム(Donaustadion)で、SSVウルム 1846  (SSV Ulm 1846) 対 アイントラハト・フランクフルト(Eintracht Frankfurt)
です。

この試合はDFBポカールという、ドイツ国内のサッカーカップ戦でした。
(ポカール=Pokalは、ドイツ語で優勝カップやカップ戦のことです。)

4部のウルムにとって、ブンデスリーガ1部のフランクフルトを迎えての試合は
そもそもリーグが違うので普通はありませんが、このカップ戦はそのリーグを越えての
戦いがあるのです。

スタジアムの収容人数が約1万9千人で、チケットは完売でした。

スタジアムに到着し、席に行く前に飲み物を買おうとしたのですがそこには長蛇の列。
とんでもなく時間がかかりそうだったので一旦あきらめ、自分たちの立ち見席に向かいます。

が、
(私たちが入ることができる場所がもう全然ないんじゃないかな、)
(ちょっと無理かも、、)と思ったほど立ち見席は既にぎゅうぎゅう、
人と人の間に隙間がないほど、超、超満員になっています。

チケットを手に持ち入場しているにも関わらず、
(これじゃあ、今日は試合が見られないんじゃ、、)と思い切なくなりました。

それでも、人々があふれかえる立ち見席で場所を求めて歩きつづけ、どうにかすきまをみつけ、
隣の人とくっつきながらも自分たちの立ち位置を確保することが出来ました。

ここから飲み物を買いに行こうにも、そもそも動きが取れないので
①出るのに時間がかかる
②出たら最後、戻ってきたときに場所がない
③売店は長蛇の列のため、一体どれくらい時間がかかるかわからない
ので、飲み物を買うのはここであきらめました。

そうこうしているうちに、15時30分試合開始となりました。
フランクフルトは長谷部誠選手が先発で出ています。

4部所属のサッカーチームであるウルムが、ブンデスリーガ1部のチームであり
しかも前シーズン、ドイツカップで優勝したフランクフルトを相手に戦っています。

とくると、ここは「ウルム頑張れ!」と応援したくなるのですが、
フランクフルト所属の日本人選手がこうして海外で頑張っている姿を見ると、
どうしても(こっそりでも)そのチームも応援したくなります。
結局、どちらのチームにも頑張ってもらいたいというどちらにも振り切れない気持ちを
持ちながら試合を観戦していました。

ウルム対フランクフルト

とにかく人、人、人の中、自分の前に立っている沢山の背の高いドイツ人たちの
肩と肩の間から視界を探し、試合を見ることは出来ていましたが、
私自身は暑さに負けそうになっていました。

日本のように湿気の多い蒸し蒸しした暑さではなく、それに比べればべとつくことも
なくカラッとした暑さではあります。でも、肌に刺さりこんでくるような強い日差しと、
屋根のない立ち見席だったので、頭の真上からじりじりと照りつけるような太陽の強さにクラクラし、意識が遠のいていきそうでした。
それでも、試合にドキドキし、大歓声に囲まれ試合終了となりました。

試合はなんと2対1でウルムが勝ち、次のラウンドへ進出です。

試合後、ウルム駅まで歩いて行きました。

電車の時間まで少しあったので、私たちは駅の中にある本屋に入りました。
夫と友達は先に本屋から出ていて、私もその後出たところ
2人がそれぞれ、全く知らないドイツ人と話をしています。

そのドイツ人達はフランクフルトを応援に来ていたそうですが
とてもいい感じで既に出来上がっていて、すぐ目の前にあるバーで私達に
「一杯おごりたい」と話しかけてきた、とのことでした。
もうすぐ電車の時間だったので丁重にお断りしつつ、感謝の気持ちを伝えました。

するとその1人が私のことをみて、「出身はどちらですか?」と英語で聞いてきました。

(酔っぱらってるし、なんか変なこと言われたらヤだな、、)と思いながらも
聞かれた質問なので、「日本です・・。」と答えたら、
その人は私に、「分かりました!」と日本語で言ったのです。

これっぽっちも予想しなかった一言に私が驚愕していると
「ね、通じてますよね、これ」と言うので、私は驚きでうなずくしかできなくなっていました。

「分かりました」の一言が通じたことがとても嬉しかったようで、顔をくしゃくしゃにして喜んでいました。
アニメから知ったとのことで何度も「分かりました!」と言っていました。

そんな嬉しそうな様子を見て、
酔っぱらっているがためにはなから懐疑的な目でみたことに、心がチクっとしました。

テンションが高く気持ちよく酔っぱらったそのドイツ人達を後にし、私たちは電車のホームへと向かいました。

ウルムは次のカップ戦で当時ブンデスリーガ1部だったフォルトゥナ・デュッセルドルフと
対戦し、敗戦。
このシーズン(2018‐19)はバイエルン・ミュンヘンがカップ優勝しました。

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