あの時:サッカーの試合観戦中にボール係に?!

コロナの影響で、ヨーロッパでは3月中旬以降サッカーの試合が中止や延期となりました。

これは、ちょうど1年前のこと。

ドイツ4部リーグのFVイラーティッセン(FV Illertissen) 対5部リーグの
シュツットガルター・キッカーズ (Stuttgarter Kickers)の練習試合を見に行きました。

この試合は、どちらのホームでもない、別の場所でありました。バスと電車を乗り継いで最寄り駅に到着。30℃越えの照りつける暑さの中、その最寄り駅から約25分歩き、天然芝のピッチに到着。入場料は、1人5ユーロ(約610円:2019年7月)。

試合開始が15時だったので、試合前にソーセージ(ドイツ語でWurst)のはさまったパンで遅い昼食を取りました。ドイツでサッカー観戦と言えば、ビールとソーセージが大定番!

腹ごしらえをし、この練習試合ではどこで見てもよかったので、観戦場所を選ぶことに。サッカースタジアムの場合、ピッチの両サイドは、メインスタンドとバックスタンドと呼ばれます。

ここではメインスタンド側に屋根付きの座席があり、バックスタンド側は、あるのは草むらでした。メインスタンド側の座席は既に満席でした。「座席」と言っても全体に席があるのでなく、一列だけ、数は50席ほど。それらの座席の前も、立ち見の人でいっぱいです。


私達は草むらのあるバックスタンド側で、真ん中よりも少しキーパーに近いところで、立ち見で試合を見ることにしました。と言うより、座席自体がないので、立って観戦するか、草の上に座って観戦するかの二択です。

試合が始まり、前半の途中のこと。
ちょうど私の方にボールが飛んできて、私の真上を飛び越えてその先の草むらに落ちました。誰かスタッフがボールを取りに行くのかと思ったら、誰も行きません。なので、一番近くにいた私がその草むらの方へ歩いて向かいました。

ボールが落下した辺りを見ると、そこは私の腰の高さまであるたくさんの草で覆われている上、少しくぼみになり、へこんでいました。
「うわっ。落ちそうだし、何かへびとかいそう」と思った私は、一瞬ボールを探すことをやめようかと思いました。

でも、「試合は別のボールで再開されているだろうから、まあ、ゆっくり探せばいいか」と思いながら少しそのくぼみをのぞいてみると、ボールの一部が見えました。見えたものの、他に何がひそんでいるか分かりません。

また躊躇したものの、誰もボールを拾いに来る様子もないのでしょうがないと思い、少しかがんで、手を最大限にのばし、見えたボールを2、3回手前に転がし、へびに遭遇する前にと、急いで拾い上げました。

「何で私が虫やへびに攻撃されるかもしれない危険を冒して、ボールを拾うことになってるんだろう」と思いつつ、ようやく拾い上げたそのボールを手に、ピッチの方に向きを変えて、ゆっくりと一歩あるいたその時、ハッとしました。

ピッチ上の選手の顔が、私が持っているボールに向けられていました。

その瞬間、試合が止まっていたことに気づきました。

別のボールで試合続行でなく、ボール拾い待ちだったのです。

「ひぇっ」と、私はあわてて走り出しました。

キーパーがボールを渡すように手を上げてくれたので、ピッチに近づいた私は、急いで彼にボールを投げ入れました。キーパーは「Danke! (=ありがとう)」と声をはりあげてくれました。

そして、ようやく試合再開となりました。

その時、のんきにボールを拾いに行っていた自分の行動の一部始終が一気に脳裏によみがえり、小恥ずかしくなりました。

試合は2-2で引き分けました。

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