それは、文字通りちょうど1年前、2020年3月のことです。
電車とバスを乗り継ぎ、ザントハウゼン(Sandhausen)という町に、
シュツットガルター・キッカーズ(以下、キッカーズ)対、SV ザントハウゼンII
の試合を観に行きました。(キッカーズの応援です。)
キッカーズにとって、3か月の冬季中断明け、2019-20のシーズン後半の最初のリーグ戦でした。
久しぶりに顔見知りのサポーター達と会い、いつものサッカーのある週末が
戻ってきて、なんとはない会話が出来る嬉しさが込み上げてきました。
この時、コロナが話題には上がりましたが、これまで体験したことのない状況が
すぐそこまでやってきていたなんて、これっぽっちも想像できませんでした。
試合会場は、ピッチの周りに陸上トラックがあったため、残念ながらその分
ピッチと観戦者の距離がありました。しかも、セキュリティの人たちが、キッカーズ
サポーターの前方にだけ(!)約2メートルずつの間隔で陸上トラックの上に立って
いました。
選手のウォームアップを見ている段階で、選手とボールの代わりにセキュリティの
人たちが何度も大きく視界に入ってきたので、試合中も見えにくいだろうな、とがっかり。
それでも、3か月ぶりのリーグ戦ということで気持ちはどんどん高ぶっていきました。
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選手が入場し、試合開始の笛が鳴りました。
この時点で、リーグの順位表でキッカーズは2位、対戦相手は最下位にいたため、
キッカーズの勝利への期待は自然と高まります。
キッカーズが圧倒的にボールを保持し、攻撃していました。でもそれがゴールには
つながりません。もどかしい時間が続きます。
前半38分。
キッカーズの選手のパスミスで、ボールが相手チームに渡りました。
すると、守備が間に合わず、そのまま相手チームのゴールとなりました。
あまりにあっという間の出来事で、しばらく放心状態となりました。
あれだけ攻撃していたのに、ひとつの小さなミスで相手の得点となります・・。
1対0で前半が終了し、後半が始まりました。
さて、ここからまた気持ちを切り替えてゴールを狙っていこう!という矢先、
後半が始まって1分でした。
相手チームの選手のロングボールがそのままキッカーズのキーパーの頭上を越えて、
ゴールネットを揺らしました。
「えっ?」
目の前で起こったことを理解しようにも、頭の中がその処理に追い付けないような
感覚でした。
ゴールが認められると、キッカーズの選手と、ザントハウゼンまで駆け付けた300人の
サポーターから、ため息ともあきらめともつかない嘆きが聞こえてきそうでした。
4部昇格を目指してシーズン後半を始動した矢先、ここは何としても
勝ち点3点を取りたかった試合でしたが、そのまま2対0で惨敗しました。
この試合の2日後から、ドイツでも新型コロナウイルスの感染拡大の為、
サッカーなどの試合やコンサートが延期や中止となり、気づけば周辺諸国との
国境閉鎖、各種店舗の閉鎖と、一気に制限措置が拡大されていきました。
その結果、5部所属のキッカーズにとっては、この対ザントハウゼン戦を最後に、
それ以降の全ての試合が中止となりました。
そして、全試合を消化することなくそのままシーズン終了となり、手が届きそうだった
4部昇格も掴みきれずに逃しました。
(昇格したのはVfBシュツットガルトIIの1チームのみ。)
失意と落胆に終わったあの試合が、昨シーズン(2019-20)最後の試合になるなんて。
今シーズン(2020-21)は、5部は昨年8月中旬にリーグ戦が開始された後、10月中旬に
コロナの制限措置で中断となりました。
それから今に至るまで中断されたまま、チームでのトレーニングも出来ていません。
今回こそは4部昇格を!と選手もサポーターも奮い立って始まった
今シーズンですが、この後どうなるのか、まだトンネルの出口は見えていません。
長いトンネルです。