あの時:南スペインで、スペイン代表戦と寒波と揚げ物

コロナ禍の制限で、今月予定していたサッカー観戦は軒並み中止となった。

去年(2019年)の今頃は、南スペインにサッカー観戦に行き、
輝く太陽と温暖な気候の元、白亜の街並みを見ながら街歩きをしたり、
海岸線に沿っての散歩を楽しんだり、魚介のから揚げを思う存分楽しむ、はずだった。

既に冷え込むドイツを後に、シェリー酒の町である、南スペインのへレス(Jerez)へ 飛んだ。

本来であれば20℃くらいの暖かい気候のはずが、
ちょうど寒波の到来と重なり、若干の不安を抱えながらも、へレスに到着。

気持ち良さそうな青空を見て一安心し、空港を一歩出たところ、寒かった。
なんだこの寒さは。そして、風がづ・め・だ・い!
ほんとに南スペインに来た?と疑いたくなるほど、ただ寒かった。
それなりの寒さ対策をしてきたつもりだったけど、寒波といってもここまで寒いとは
思っていなかった。

へレスの街を歩き回って観光している間、雨が降り出し、寒さが増した。
寒波で寒さが強いにも関わらず、どこのレストランも習慣なのか、
入り口の扉が開いたままなのが気になった。

へレスから電車で約40分、今回の目的地であるカディス(Cadiz)へ移動し、
一抹の期待を胸に駅の外に出たものの、寒さは変わらなかった。

街を歩いてみると、この街でも、どこのレストランも入り口の扉が開いたままなのが
気になってしょうがなかった。
普段の気候なら最適なんだろうけど、出来れば、レストランではコートを脱いで、
快適に食事をさせてもらえると嬉しい。

その日の夜、サッカー・スペイン代表のトレーニングがカディスCF(Cádiz CF)の
ラモン・デ・カランサというホームスタジアムで急遽、公開練習として開催されることを知り、
観に行くことにした。
(カディスCFは当時、スペインリーグの2部に所属し、2020年の夏、1部に昇格したチーム。)

直前の告知だったため、誰も観に行かないんじゃないかと思いながらスタジアムへ向かった。

それでも念のためと、スタジアム開場の45分前に現地に到着したら、スタジアムを囲む
ように、周りには既に長い行列。
この行列だと、もしかして入れないかも、と心配になった。

寒さに凍えながら待った結果、心配も杞憂に終わりスタジアムに入ることが出来た。
冷たい風にさらされたものの、すぐ目の間でスペイン代表のトレーニングを観られること
に興奮し、1時間の公開練習はあっという間に過ぎた。

スペイン代表公開練習

その後、夕飯を食べに魚介の揚げ物で有名なレストランへ向かった。
海に面しているカディスは、魚介一般、そして魚介の揚げ物でよく知られている。
店内は混雑していたものの、既に遅めの時間だったためほとんど待つことなく席に着く
ことが出来た。

冷たい風が容赦なく吹きつけようが、入り口の扉はここも例外なく開けっ放しだった。
おいしさと寒さと長い一日の疲れが一気に押し寄せてきた。

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翌日、朝起きると外は真っ青に晴れ上がって、太陽の輝く気持ちのいい空だった。
その景色に期待して、もしかしたら今日は暖かいかも?と外に出た。
昨日と同じく、寒かった。

カディスの街を歩き回った後、出来る限り魚介のから揚げを食べたかったので、
昼食もまた、魚介の揚げ物の美味しそうな別のレストランへ行った。
レストランの入り口は、もちろん、扉が開けっ放しだった。

魚介揚げ物

写真右側のかき揚げみたいなものは、トルティージャ・デ・カマロネス(Tortillas de camarones)
というエビの揚げ物で、この地方の名物料理。

夜は、今回の旅の目的であるスペイン対マルタの代表戦を観戦に、前日と同じ
カディスCFのスタジアムに向かった。
この試合は、UEFA欧州選手権(UEFAユーロ2020)の予選の一戦だった。

試合開始前、スペイン代表のセルヒオ・ラモス(Sergio Ramos)選手が、
前月にサッカー・スペイン代表選手の中で歴代最多の代表出場試合数(=キャップ数)
(168試合)を達成したため、それを記念した幕が掲げられた。

Sergio Ramos

スペイン代表は7対0で快勝した。
(ちなみに、今年の6月に開催予定だったUEFAユーロ2020は、コロナで来年に延期となった。)

スペイン代表

それにしても、
カディスCFのスタジアムのトイレがなかなか衝撃的だった。
トイレの入り口を入って手を洗うところの上に、蛍光灯が一本。それ以外の個室には
電気が、なかった。
今回だけだったのか、いつものことなのか、現在もそうなのかは分からないけれど、
これまでに訪れた数々のスタジアムやサッカー場で様々なトイレを見てきた者としても、
この光景にはあ然とした。
かろうじてこぼれる蛍光灯の光を頼りに個室に行くと、どれだけ譲ってもどうしても
少しも綺麗と言えないトイレにたどり着き、ドアを閉めると光が届かず何も見えなかった。

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翌日も寒波は停滞しており寒さは変わらないものの、風が弱まっていたため、
海岸線に沿って気持ちよく散歩でき、この旅最後の揚げ物を満喫した。

カディス海岸線
魚介揚げ物
Puntillas fritas (プンティージャス・フリータス)

コートいらずの温暖な気候の時に再訪し、気持ちがいい海風を浴びながら、
シェリー酒を片手に魚介の揚げ物を心ゆくまで堪能したい、という希望を
胸にカディスを後にした。

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