今季(2020-21)のUEFAチャンピオンズリーグのグループステージは
10月に始まる予定です。
去年(2019年)の今頃は、UEFAチャンピオンズリーグ(2019-20)のグループステージの試合、
パリ・サン=ジェルマン(以下PSG)対レアル・マドリードの一戦を、
PSGのホームスタジアムである、パルク・デ・プランス(Parc des Princes)で
観戦してきました。
試合当日の朝、レアル・マドリードのユニフォームに身を包み、
ドイツからパリまで電車で向かいました。
パリに到着後そのまま、午前中は、青空が広がり暖かく気持ちのいい秋晴れの中
エッフェル塔の近くを散歩しました。
その辺りでは、まだ午前中にも関わらずレアル・マドリードやPSGのユニフォームを着て
街を歩いている人たちとすれ違いました。
私達と同じく、その日の夜の試合観戦に来ていたのだと思います。
その後ホテルに向かって歩いていると、後ろから歩いてきた20代くらいの男性が、急に、
片腕を上げて応援するように ’¡Hala Madrid !’と私たちに向かって笑顔で言いながら
追い越していきました。
私達もとっさに笑顔がこぼれ ‘¡Hala Madrid!’ と答えました。
“Hala Madrid” :「アラ・マドリー(ド)」というスペイン語の言葉は、
レアル・マドリードの象徴的な言葉です。
注1.Halaの Hは発音しません。
注2.最後の「ド」はほとんど聞こえません。
Halaは、ここでは応援するときの掛け声で、「頑張れ」のような意味合いです。
なので、
”¡Hala Madrid!”= 「頑張れ、レアル・マドリード!」という感じです。
レアル・マドリードのサポーター同士が ”¡Hala Madrid!” とお互いに言って
励ましあう挨拶のように使ったり、チームを応援する時に使います。
レアル・マドリードの選手にとってもキーワードです。
現在はイタリアのユベントスでプレーしていて、サッカーに興味がない人にも知られている、
ポルトガル出身のクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)選手が、
2009年にレアル・マドリードに入団したとき、本拠地のスタジアムで
8万人のサポーターの大歓声の中、挨拶をしました。
その時最後に、彼が「1、2、3」と数えてリズムを取った後、その8万人のサポーター達と
一緒に ‘¡Hala Madrid!’ と言って挨拶を締めくくったことを、夫が教えてくれました。
さて、ホテルに到着し、チェックイン後、朝が早かったので少し休んでからいよいよ
スタジアムに向かいます。
試合は21時からですが、余裕を持って着くために大分早くホテルを出て、朝から変わらず
のレアル・マドリードのユニフォーム姿で最寄り駅に向かって歩いていました。
すると、反対側を歩いていた一人の男性がこちら側に向かって来て、私たちに明るい笑顔
を見せながら言った一言が、「3対0だと思います!」
一瞬、「何が?」と驚きましたが、夫もすぐに笑顔で「どうなりますかね!」と答えて、
お互いの健闘を祈ってすれ違いました。
ヨーロッパでサッカーチームのユニフォームを着て歩くと、先ほどもそうですが
こういったことがよくあります。
(ただし、バルセロナでは、レアル・マドリードのユニフォームを着て街を歩くのは
危険の方が多いので、それはしません。)
スタジアムの最寄り駅に到着し、そこからスタジアムまで歩いていきました。
多くのサポーターの姿、そして多くの警官の姿に、否応にも気分が高まっていきます。
私達はアウェイの観客向けの席での観戦だったので、
ホーム(PSG)のサポーターと会わないように、入り口にたどり着く前
からしっかりと別れるようになっていました。また、本人確認や手荷物検査といった
関所のようなチェック箇所が3回ぐらいあり、それらを通過して無事にスタジアムの中に
入ることができました。
選手のウォームアップが終わり、21時近くになり、
何度聞いても心が震えてくる、UEFAチャンピオンズリーグのテーマ曲が流れてきました。
(UEFAの公式サイトにある、テーマ曲についての記事(こちら)で聞くことが出来ます。)
試合開始直前、PSGのゴールキーパーのケイラー・ナバス(Keylor Navas)選手が、
いつものようにゴールの前で祈りを捧げていました。
コスタリカ出身のケイラー・ナバス選手はレアル・マドリードのゴールキーパーだったの
ですが、この試合の前に、PSGに移籍したばかりでした。
彼がもうレアル・マドリードのキーパーでないのは、私は残念でならなかったのですが、
レアル・マドリードのサポーターから大きな大きな拍手で迎えられていました。
さて、試合はというと・・・3対0で、PSGの勝利でした。
その日すれ違った、試合結果を言い当てたあの男性に、思わず敬意を
表したくなりました。
試合後、レアル・マドリードの控えの選手はピッチ上でトレーニングを始めたので
すが、その中の一人、アルバロ・オドリオソラ (Álvaro Odriozola) 選手は、
私達アウェイ(レアル・マドリード)の観客向けの席に近寄り、拍手で挨拶をし、
サポーターの一人に自分が着ていたユニフォームをプレゼントしました。
そんな姿に、その瞬間は心がほぐされました。
翌日、3対0という完敗の結果と共に電車でドイツへの帰路に着きましたが、
立ち直りに少し時間がかかりました。